strangeways, here we come/THE SMITH(CD)

strangeways, here we come/THE SMITH(

イギリスのギターポップ、ロックバンドのラストアルバム。
全アルバム、シングルコンピHatful of Hollowは個人的にも外せないし、それらも素晴らしく傑作なんだが、このアルバムは唯一リアルタイムで手にした一枚で思い入れがある。リリース前後に解散を表明したのだが、それを知って購入したのかどうだったのか今では思い出せない。
陰影。それは同時代のアメリカのバンドには感じられなかった。イギリスのバンドに強く感じていた事だが、今までのアルバムよりも陰影的な印象を強く受ける。リリース当時は既にCDが全盛期を迎えていたが、現在とは違い、アナログ盤も多数リリースされていた。僕はLP盤を購入した。CDとアナログ盤,LPの違いは色々あるが、収録数の違いや両サイドの振り分けがまず挙げられる。このアルバムもLPとCDでは別物だと感じる。
曲名は陰影のイメージが強いが、B面はそのイメージを更に強く感じる。Last Night I Dreamt That Somebody Loved MeとI Won't Share YouはLPだとB面の最初と最後を飾る曲だが、それまでとは対照的な曲調で終焉や終末的なイメージが協調されているように感じる。決して円満的な解散では無かった彼らを暗示するような楽曲(CDだと6〜10曲目)は初めて聴いた時のイメージのままだし、CD盤でも意識的、意図的に分けて聴く習慣は無くならない。
陽的な前半と陰的な後半。収録されている楽曲は完全燃焼する前に鎮火していくような構成で構築されているように感じる。起承転結の承転が抜けてるようなアルバムかも知れないが、ある意味ラストに相応しい音源かなと思う。彼らは燃え尽きてはいなかったし、まだまだ発展出来るバンドだった。強引に終わらせようとした意図をこのアルバムでは感じる。
僕的には後半部分が圧倒的に好きで、この音源を手にした時は沸き踊るような感情の高まりを覚えた。それが最上の幸福感だったのは間違い。楽曲に感じるイメージは当時とそれ程変わっていないが、これほど待ち望んだ音源はあまりない。しかも国外のバンドだったから尚更だった。アルバムイメージは今までのアルバムよりはセンスの悪さを感じてしまうが。
青春の思い出の一枚。
release by Rough Trade Records in 1987
Rough Trade Records
http://www.roughtraderecords.com