回帰線/尾崎豊(CD)

回帰線/尾崎豊(CD)

日本のミュージシャン/シンガーソングライターの2ndアルバム。月刊文芸春秋に彼の遺書が掲載された。上京後に音源が全て売られたので、これを機会にレンタルで借りて来た。このアルバム収録の"卒業"12インチシングルを持っていた。売られて以降、音源は買い戻してない。だから、本当に久し振りに聴いている。20代以降は聴いてないはず。1st&3rdも借りてきたし、どれも外せないのかも知れないが、選ぶのだったらこのアルバムに尽きる。でも、今はさすがに全曲聴き続けるのは辛い。
パンクやハードコア、ニューウェーブを知ったのは高校時代だが、尾崎豊と出会ったのもそうだ。音楽に対する世界観を変えた一人が彼だし、音楽が世界を変えるのは大げさだが、一人の人間の意識を確実に変えることを証明してくれたのが彼だ。卒業まで数ヶ月、そんな時期に行われたコンサートへ一緒に行ったのは友人だったが、登校拒否にかかった友人は今後の展望なんか見えなかった。ライブは某地方都市の城跡ホールで行われたが、何を話したのか覚えてないが、友人のネガティブ思想が一気にポジティブに変わったのは感じた。ライブ後の友人の内面は確実に変化していた。音楽が人間を変えたのを目の当たりにしたのはこの時が最初で最後。パンク/ハードコアのシーンではバンドに限らず、いろんな形で行動を起こす人達がいる。それも変化の一つと言えるが、そういうのとは違うと思う。自分も一時期、ライブ写真中心のサイトを立ち上げたことがあるが、それとも違う。うまく言えないが、とにかく人を変えるほどの影響力を持った音楽性を持っているのが、尾崎豊だということは言える。正直に言えば、僕はこのコンサートにどうしても行きたいという訳ではなかった。多分、僕は既に尾崎豊から卒業していた。だけど、周りで行く気があるのが僕だけだったし、息抜きは必要。たった数時間の時間さえ自由に使えないシステム。そんなシステムから逃げる様に僕は道を踏み外して行ったが、友人は彼との出会いで外しかけた道から立ち直った。それが正しい道だと断定する気は無いが、その力だけでも音楽は素晴らしいものだと思うし、行って良かったと思う。失っていた生気を取り戻したのがすぐ分かった。
唯一、ホールクラスで観た邦楽アーチストのライブが尾崎豊だけというのは邦楽から離れて行った事実を示しているが、でかい会場は音楽を聴く(観る)のに適してないと思うのが最大の理由。ライブハウスクラスでは邦楽バンドは幾つも観ているが(この場合の邦楽バンドはいわゆるメジャー系バンド)、あの一体化した観客パフォーマンスを思い出すと、行く気が起こらないし、ステージが遠すぎる。一人一人の楽しみ方があるはずだし、一体感は得られると思うが、同じ動きで一体感を得るのには同意出来ない。洗脳的な何かを感じている。ライブハウスでもそんな経験をしたので、すぐに行かなくなったが。
サウンド面について全く触れてないが、追悼的な意味合いを込めて書いた。邦楽を変えた革命児だと思うし、特に歌詞は革命そのもので、従来の方程式的歌詞を一掃する画期的な歌詞。10代で彼と出会ったのは大きかったと思う。考えるきっかけの一つを与えてくれた。再び聴く機会はないのかも知れないが、聴かなくても心の片隅に彼は永遠に存在している。
released by CBS sony in 1985
http://www.ozaki.org